最期のお別れ
28日の朝、津軽平野は薄日が射す穏やかな日でした。
岩木山は、山頂に雲がかかっていました・・・
平野の中のそこかしこから、稲藁を燃やす煙が立ち上り、煙のせいなのか
視界がぼんやりしたまま、自宅に駆けつけると、ちょうど出棺の時でした・・・
『間に合ったよ・・・・・』 最期の姿を見せてもらいました・・・
キレイにお化粧してもらって、『いい女に磨きがかかってるよ・・・』と声を掛けて、
一緒に火葬場に行きました。
自分の、父の葬儀の時には、忙しさに涙が出るのも忘れていたような気がしますが、
このたびばかりは、来る前にもいっぱい泣いたんですが、開いている目から
ポタリポタリと落ちていくんです・・・大粒の涙が・・・
声を立てずに泣くんです。
涙だけがとめどなく落ち続けて、枯れることなく、
いつまでもいつまでも、・・・・・
それでも、人と話すときには、彼女の最後の闘病の姿を知っている者として、
彼女の頑張りと、強さを伝えられれば・・・と話してきました。
辛い時期も、楽しい時期も、一緒に過ごしてきた友達は、
みんなに見送られて、煙になってお空の上に旅立ってしまいました・・・・・
夜は、弘前市内に泊まり、昔、彼女とよく、飲み歩いたころを思い出すべく
久しぶりに、日本酒を頼んでみました。
『じょっぱり』を口に含むと、純米酒独特の甘い香りが広がります・・・
でも、飲み下すときには、とても、しょっぱいお酒のように感じました。
お酒の味ではなく、涙の味のようでした・・・
29日にお葬式があって、遺影の彼女にお別れを言って帰路につきました・・・
帰るときも岩木山は、山頂を雲の中に突っ込んだままでした・・・・
秋田まで来たころ、夕焼けが西の空を染めていました。
『いつまでも泣くな~ 先に行ってるからなぁ~
どこさいても、友達だからな・・・・・また、逢う日まで、わんつか、お別れだじゃ・・・へばね・・・』
夕焼けの空から、彼女に叱られたたような気がしました。
明日からは、また、日常が始まります。
涙を拭いて、もう少し歩いていきます。
彼女のぶんまで・・・・・
にほんブログ村前を向いて歩こう・・・彼女の分まで・・・
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