2012年01月11日

捜索記その13

今日、見つかったら、これを食べさせてあげよう、 今、遭ったら、ギューッと抱きしめて、こうしてあげよう、帰ってきたときには、こんなことを、出来たらいいな・・・捜索中の5ヶ月間、あれこれ考えていたことが、現実に出来る状況が、やってきました。ウインかもしれない犬が保護されたと聞いた瞬間、ハーネスと餌を持って、会社を飛び出しました。新聞広告が当たった!!確認の方法も考えながら、豊科に向かいましたが、一度も、ウインを見たことがないわん旅は、チラシに書き込んだ情報だけが頼りです。豊科支所で、保護されている犬を見に来たダイヤモンドバスです・・・・と告げると、すぐに、こちらです!!と案内されました。カギを開けてもらう間に、塩尻から、ウインパパのお兄さん夫婦が駆けつけてくれました。
26日は、月曜日でお店がお休みだったのです。ちょうど、出かけようとしていたところにウインママから、『確認に行って!!』と電話が入り、急遽飛んできてくれました。
檻から出された犬はみんなが呼ぶ『ウイン!!』の声にとまどいながらも、バチンバチンと尻尾を振っています。
アトピーで右前足の甲の上の部分を舐め壊しているはず・・・・毛が生えていて、さわると確かに、皮膚がいくらか固くなってはいるものの、足には短いながらも、びっしりと毛が被っています。どうしよう~(汗がたら~)左耳が耳血腫で固くなっているはず・・・・両方の耳が耳血腫で、重い程になっています。その上、耳の横の毛が絡まって、団子状態になっています。
全身の毛が、まるで、ドレッドヘアー、抜け毛も、まばらについているので、ガタガタのトラ刈り状態、やせ細って、アバラ骨はすべての形が判る程、浮き上がっています。まるで、歩く骨格標本!!それでも、塩尻のお兄さんが、『ウインに間違いない!!』と言ってくれたので、
ママに、写メを送ります。『ウインの写真を送るから、すぐに見て!!』今まで、何度となく、期待と失望を繰り返したママは、その写メを見て、すぐにウインだと納得することが、難しかったことだと思います。
『本当にウインですかね・・・?』
『ウインに間違いないよ!!』 いっときの沈黙の後
『ウインだ・・・生きててくれた・・・・・』もう声にならない、言葉に詰まってしまって、電話の向こうにはママの嗚咽が、響いていました。
『ママ、ママ、しっかりして・・・』それ以外に何も言う言葉はありませんでした。
『すぐに迎えに来れる?』ウインの生きていたことが、ようやく本物と確認できたママと、お兄さんから、ウインに間違いないと電話をもらったパパは、仕事を早退して、すぐに、こちらに向かうことになりました。
アバラが浮き出るほどに、痩せている姿から、人に飼われた形跡がないことは、一目瞭然です。わん旅は、ウインが見つかった時にあげられるように、持ち歩いていた、タンジャーキーを、鼻先に差し出しました。目は目ヤニでほとんど開かない程に、腫れていますが、鼻は効くようです。口元は、焼け焦げたごみでも、漁ったか、泥でも、食べたか・・?ビニールらしき塊が、こびり付いています。歯も、歯石で、真茶色です。それでも、いままで、自分が好物だった、タンジャーキーをバリバリ噛みしめていました。でも、5ヶ月にもわたる放浪生活で、胃腸も、荒れているだろうから、一度に、食べ物を与えるのは・・・・と鼻先でもっと頂戴をするウインを宥めました。
市役所の職員さん達も、口々に、『奇跡だね、よく生きていたな~、良かった、良かった』みんなの手には携帯電話が握られていて、あちらこちらから、パシャパシャ、シャラリーン、ピピッという、シャッターを切る音が聞こえてきました。
みんなが、携帯で写真を撮る中、誓約書に《今後は管理をしっかりとし、一生大事に育てます。》と書いて、ウインを引き取りました。
捜索中にママと、見つかったら、『すぐに、病院直行だね・・・点滴してもらわなきゃね・・・・シャンプーしなきゃ、大変だよね・・・』と話していたことが、現実になるのですが・・・・さて、このドロドロの、ドレッドヘアーの臭気漂うお嬢さんをどうやって、病院やシャンプーをするところまで連れて行く? 誰の車で・・・? お兄さんの車は、ミニクーパー仕様の軽乗用車・・・ウインを無理やり後ろの席におしこんだとしても、運転するお兄さんの顔の横には、ウインのドレッドヘアーが来るのは、確実!!
わん旅はエスティマ、でも、このあと、肉食恐竜を5匹、学校まで迎えに行かなきゃならない・・・・あゝ・・・軽トラか、ビニールシートの、クルーで来ればよかった・・・・歩かせてなんか行ける距離でもないし、これから、軽トラを取りに、会社に戻るには時間がかかるし・・・・んんん~傍には、安曇野市役所と書かれた軽トラが1台・・・近いところなら、なんとかなるかも・・・そうだ!!WITHさんのシャワー室が借りられないだろうか・・・? ダメもとで、職員の方に、これからの、段取りを話すと、特別に連れて行ってくれると・・・ウインの、引き取りを見守っていた職員さんからも、連れて行ってあげなよ~と声援がかかり・・・(ふつう行政機関では、引き取られた後の犬の事など手伝ってはくれません)・・・こんなところも、奇跡の犬なんです。ありがとうございます。
ママが、お兄さんに預けておいた、ハーフチョークとリードは、痩せてしまったウインには、効きません。市役所の保護用の首輪とリードを借りて、市役所本庁舎の西にある、ドッグカフェ『WITH』さんに、向かいました。
運転してくださる、職員のかたも、軽トラの荷台に、短く括り付けたウインに振動が伝わらないように、、ゆっくりと、運転してくださいました。『それにしても、よく、生きていたもんだね、長かったね5ヶ月だよ・・・良かったね、奇跡だよ・・・』ウイン見張りのため、助手席に乗って、後ろを見ているわん旅に、たくさん話したいことも聞きたいこともあったらしいのですが、軽トラは、5分も、かからずに、本庁舎の西の『WITH』さんに到着しました。
入店お断り!!をだされても、おかしくない程、きちゃな~いお嬢さんを、連れて行った、わん旅が、玄関の、ガラスを拭いていたお店の方に、ダイヤモンドバスです。と伝えると、すぐに、『ウインちゃんだね!!』・・・・・そう!!WITHさんにも、チラシを貼らせていただいたり、ワンコ好きが集まる場所なので、情報を拡散していただいたりと、協力をしてくださっているお店なのです。中から、オーナーさんも、飛び出してきて、『あんた、よく、生きていたね、よく帰ってきたね~早く、お入り!!』
ドロドロのウインをシャンプーすることを、快諾してくださって、ドロドロの肉球マークを床に残して、歩いていく、ウインを優しくなでて下さいました。あの時の、ウインはまるで『千と千尋の神隠し』にでてくる、泥の固まった神様みたいな風貌だったんです。ただ、ガりガりに痩せていただけで・・・・わん旅は、ウインと一緒にシャンプー室に入ります。備え付けの、エプロンと長靴を借りて、ドロドロの、ウインの体に、温かいシャワーを掛けてやると、じっと落ち着いて、体を触らせます。
排水溝に向かって、流れていくウインの塊になって抜けた毛と、お湯で融かされて流れ出した泥が、長かった、放浪生活の終わりを告げるように、ゆっくりと渦を巻いていきました。


まだ、つづく

今日のウインちゃんは写真お休みします。
手術の事も、書かなきゃいけないので、追ってアップします。




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Posted by わん旅・スタッフ at 14:21│Comments(0)捜索記
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