2012年01月12日

捜索記その14

長旅の後のお風呂は、人間も、気持ちの良いものですが、犬達にとっては、いかがなものでしょう・・・・・5ヶ月にもわたる放浪生活をしていたウインの体にお湯をかけて、大まかな泥を落とし、シャンプーをつけて体を洗いましたが、泡などたちません。シャンプーした部分から、ゴッソリと毛が抜けて、何度も、排水溝の毛を取らなければ、灰色のお湯が足元を、覆い尽くしてしまいシャワー室自体が、お湯びたしになるくらい、毛が抜けるのです。体を触ると、アバラだけでなく、すべての骨格が、手に、つかみきれるほど痩せているのです。それでも、足の骨が太くてしっかりしているからか、しゃがみ込むことは有りませんでした。
『ウイン、よく帰ってきたね、ずいぶん長かったね・・・』などと声を掛けながら、優しく、さするように、一通り体中を触ってみました。目の周りのヤニを拭いてやると、いくらか炎症を起こしているのか、周りが、腫れています。口の周りについていた、泥とも、ビニールとも、つかぬものをお湯で流しながら、こすって取ると、口の中、歯の間までこびり付いていた塊が取れました。お尻のあたりも、下痢をしたのか、かなり汚れていましたが、お湯で融かして、ゆっくりと撫でてやると、嫌がるふうもなく、ジッとしています。背骨も、一節づつが判る程で、撫でるたびに、涙が溢れてきます。シャワー室は、暖かい蒸気に包まれて、洗っているわん旅も、額から、汗がポタポタ落ちてきます。涙も汗も、一緒に落ちてゆくので、心置きなく、泣き泣き洗えました。あまり長い時間をかけるのは、ウインにとっても、しんどいだろうと、抜け毛は残っているものの、乾かしてやることにしました。塩尻のお兄さん御夫婦は美容師さんです。ドライヤーはお手のもの!!タオルドライしたウインの体を、ドライヤーで乾かしてくれました。乾かしている間中、アトピーの跡を探しましたが、ウインは、ほぼ完治していました。自然の治癒力は凄い!!

1時間ほどの時間をかけて、ドレッドヘアーを梳き、目の周りや口の周りを綺麗にして、ようやく、みんなに触ってもらえるくらいになりました。WITHのママさんにお腹に、やさしい食事を作ってもらって、完食!!すぐにウンチも・・・
WITHのママさんが、片付けて下さり、うんちの中に、ドッグフードがあることも、確認してくださいました。多分、市役所にお世話になっていた時のものだねとみんなで話しました。ウインが見つかったという情報は、WITHのお客さん達の間で、瞬く間に広がり、わざわざ逢いに来てくださった方、ブログで知らせて下さった方、など、本当にたくさんの皆さんにご心配いただきました。塩尻のお兄さんは、ご飯も食べて落ち着いた、床に座り込んだウインの骨の浮き出た背中にそっと寄り添って、
『ウイン、生きていてくれてありがとう・・・』と優しく声をかけました。お兄さんの額には、ウインのゴツゴツした背骨が生きているのだということを伝えていたかのようでした。

捜索記その14

12月23日 午後6時30分ころ 豊科の細萱の、Yさん宅の奥さんが、クリスマス前の買い物をして車で自宅に帰って来ました。車から、買い物を下ろし、家に運びましたが、大量の買い物は一度に運びきれず、もう一度、車に取りに出かけました。
玄関を開けて、車に向かった時、庭の隅から、大きな犬が現れました。薄汚れて、やせ細っていますが、近所でも見たこともない犬にビックリした奥さんは、あわてて、家に走り込み、御主人を呼んだそうです。
『お父さん、見たこともないような、大きな犬が、玄関に来たわよ!!』あわてて飛び込んできた、奥さんに言われて、御主人が、玄関の引き戸を少し開くと、その隙間から、大きな犬が鼻先を突っ込んできました。さすがにびっくりしたそうですが、おとなしそうだし、座ったまま動こうとしない犬に、お腹が空いているんだろうと、何か、餌をあげてお腹がいっぱいになれば、帰るだろうと思ったYさん夫婦は、パンでも、あげようとしましたが、食パンは冷凍してあり、すぐに食べられる状態ではありません、
『煮干しを持ってきてみろ』、というご主人と、
『お父さん、にぼしなんて猫が食べるもんよ・・・』と奥さん・・・近くにあったのは、お土産に頂いた《鳩サブレ》・・・
ためしにくれてみるか・・・・よほどお腹がすいていたのか、本当に美味しそうに食べたそうです。
『お前、よほどお腹が空いてるんだな・・・』 Yさんのご主人が、もう一枚、鳩サブレを手にすると、犬がお手をしたり、伏せたりするもんですから、Yさんのご主人も、かわいくなって、ほらもう一枚、もう一つ食べるか・・・?と4枚も食べさせてくださいました。糖分が体に入ったことで少しは元気を取り戻したかのようです。命の鳩サブレです。食べ終わっても、犬は玄関先から、動こうとしないため、こんな頭のいい犬なら、飼い主が探しているに違いないと、市役所に電話をしてくださいました。当初、市役所では、祭日のため、月曜日まで、Yさん所に置いてくれないか…いやいや、こんな大きな犬、繋ぐ物もないし、引き取りにきてもらえないなら、外に出すしかないけど、そうすると、また、どこかに行っちゃうよ・・・・・事故にでも、あったらかわいそうだよ・・・Yさんが電話でこう伝えると、祭日にも、かかわらず、市役所は、担当の係の方を呼んで、犬を迎えにきてくれたそうです。24・25日は業務がお休みになるため、26日に、犬を保護している旨おしらせをしたところ、新聞広告を見た方から、市役所に電話がはいり、発見に至りました。一つ一つは小さな小さな偶然かもしれませんが、その偶然がすべて、重なって大きな奇跡になったのだと思います。

ウインがいなくなって、何処を探してよいかわからない飼い主さんたちが、東京のOさんに、電話でウインが居なくなったことを伝えたとき、ちょうど、5ヶ月まえに、安曇野に住む人に、犬を引き取ってもらったことを思い出したことで、わん旅が、動くようになったこと。
沢に落ちて亡くなったのではないか?との不安を、自身の足で払拭出来て、鳴き声を聞いたことで、生きているという確信が持てたこと。
諦めかける頃に、目撃情報がきて、よし!!という気持ちが、とぎれることがなかったこと。
たくさんの地元の方が、協力してくれたこと。
26日に発見の一報を受けたとき、確認に立ち会えるお兄さんが、お休みでいてくれたこと。
わん旅パパも、夜行明けで、帰っていたこと。
WITHさんの定休日前で、お店があいていたこと。
保護してくださったYさん達が優しいかたであったこと。
市役所が軽トラで運んでくれたこと。
新聞広告を入れた日が23日でなく、26日でよかったこと。23日に保護され、24日25日は市役所も休むため、情報の告知がなされず、もし23日に広告を入れていたら、目に留まることもなかったかも・・・
ママが、次の日から、冬季のお休みに入り、お世話の出来る環境ができたこと。
これらの偶然と、ウインの持つ生命力が大きな奇跡を起こしたのです。


次回で完結します。





にほんブログ村 犬ブログ シェルティーへ
にほんブログ村ぼくも、お風呂はあまり得意ではないですのだ



同じカテゴリー(捜索記)の記事画像
捜索記その15
オーマイガッ!!!
捜索記その11
捜索記その10
捜索記その9
捜索記その8
同じカテゴリー(捜索記)の記事
 捜索記その15 (2012-01-13 01:10)
 捜索記その13 (2012-01-11 14:21)
 オーマイガッ!!! (2012-01-11 03:23)
 捜索記その12 (2012-01-10 02:16)
 捜索記その11 (2012-01-07 02:18)
 捜索記その10 (2012-01-06 00:19)

Posted by わん旅・スタッフ at 01:52│Comments(2)捜索記
この記事へのコメント
ウィンちゃんの生きたい気持ち、パパとママに会いたい気持ち、パパさんとママさんの気持ち、それからわん旅さん達の絶対に見つけてあげたいという気持ち…たくさんのウィンちゃんへの気持ちが奇跡や偶然を呼んだんですね。
まだまだ、泣くのォ~?
もう目がしょぼしょぼですぅ(ToT)/~~~
Posted by のあママ at 2012年01月12日 09:35
のあママさんへ

今夜が完結だよ~
ようやく再会したのですから、今回の手術も、乗り越えて、パパママと幸せになってもらいたいと応援してます。
ウインの生命力に望みをかけています。

幸せの涙は、いっぱい流してもらっていいよ~
Posted by わん旅・あずきママ at 2012年01月12日 18:36
上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。