2011年12月31日

捜索記その4

お盆の安曇野はおひさま効果もあり、いたるところで、遊びに来ているお客さんに出会います。

捜索記その4

犬を探していることを伝えると、皆さん親身になって心配してくれます。お盆の16日は、烏川緑地の水辺エリア、森林エリア両方をくまなく歩きましたが、全く情報に繋がることもなく、居なくなった日から1週間になるのに、どこへ行ってしまったのか、皆目見当もつきません。自分たちの目の前から、突然姿を消してしまったことだけが事実として残ってしまって、行方不明になってしまったウインはご飯だって食べていないはず・・・おなかも空いているだろうし、お天気の悪い時はどこに雨宿りしているんだろう・・・?パパも、ママも、片時も、ウインのことが頭から離れません。
きっと、見晴らし台の沢を落ちてしまったに違いない・・・もし、落ちて足でも折っていて歩けないのなら、どうやって助ければいいんだろう・・・・これだけ探してもいないってことは、きっと崖下に落ちているんじゃないかしら・・・?
想像することしか出来ないパパとママにとって、ウインが落ちたであろうと考えている沢のことが、頭から離れません。
もし、落ちて、命を落としているのなら、せめて、亡骸だけでも連れて帰ってやりたい・・・わん旅も、パパとママの気持ちが手に取るように判ります・・・・まだ、一緒に捜し始めて4日しかたっていないのに、もう何年も共に居るかのような・・・
ウインを、見たことも頭を撫でたことさえないのに、傍らにいたような気がして、これだけ探しても、姿はおろか、鳴き声さえ聞かれないってことは・・・パパやママが想像しているとおりなのかもしれない・・・・・・もし、そうだとすれば、パパとママのいう沢を捜索するしかないな!!頭の中は大型犬の遺体をいかにして、引き上げるか、また、どこかの木に引っ掛かって死んでいたら、どうやって回収すればいいんだろう・・・想像は悪い方にばかり膨らみます。
17日、いよいよ崖下に落ちているであろう、ウインの亡骸を探しにどのルートが良いのか、地図を穴が開くほど眺めまわし、
自分たちが捜し歩いた地形を思い出しても、川を遡るしか方法はありません・・・・・
わん旅は、信州に暮らしていますし、仕事柄、山もいくらかは歩きますが、心配なのはウインのママです。
置いていくわけにもいかないし、何より自分の目で見せてあげることが、必要だと思えて、一緒に川を遡ることにしました。
川を登ると一口に言っても、崖の下に下りることから考えなければなりません。
幸い、ウインが姿を消した崖の対岸に、架線の点検用道路と、発電所の取水口があることがわかり、まずは第1弾のアタックです。クマ笹をかき分けて、15分も下れば一の沢に下りられます。取水口の横に下りたって、下流は到底人が降りられるような場所ではないことから、取水口の上流を捜索します。自分たちよりも、3倍も4倍も大きな岩のかげを伝い、川の中をジャブジャブ進みます。道なんかないんですから、当たり前です。常念岳から流れてくる水は永く浸かっていると、あまりの冷たさに、足先がしびれてくるほどです。『毎日犬を散歩させているから、歩くのは平気です。頑張るから!!』と一生懸命な、ママはたぶん、こんなに厳しいルートだとは想像だに出来なかったはずです。

捜索記その4

水の中でも、岩の上でも歩けるように、ウォーターシューズを履かせて、岩を飛び越えたり、川を渡ったり、時にはどうしようもなくて、腰まで水に浸かってさらに奥を探します・・・・落ちたであろう崖下から、1キロ近く奥の部分まで進みましたが、川自体が狭く、両側に切り立った崖が聳えてくると、これ以上はもし、ウインがここに来たとしても、行くことがない場所まで、確認して、再び今来たルートを(道などありませんが・・・)取水口まで戻ります。
持ってきた塩おにぎりをほおばりながら、『ウイン~、今出てきたら、おにぎりもダシ巻き玉子も、あげるから・・・』 軽トラの荷台に座り込んで、ウインの今までの境遇を聞いたり、妹犬のサージュがウインが居なくなってから、元気がないことを聞いて
どんなことをしてでも、探してやらなければ・・・と午後の捜索に、入りました。第2弾のアタックです。

水辺エリアから、少し奥に烏川本流を堰き止めて、砂防ダムのようなものが作られているところがあって、その下の部分から烏川本流を登り、途中から一の沢に分かれていくことにしました。

捜索記その4
(この堰堤の脇の山の斜面を登りました)

砂防ダムの堰堤を超える道はありません。道なきところを崖をよじ登り、トゲトゲの草や木をかき分けながら河原を進んで、ようやく、一の沢に入り込みました。ドウドウと音を立てて流れてくる、常念岳からの雪解け水のおとに重なるように、ガサガサ、キーキーとサルの群れが近づいてきました。川幅わずか、2~3メートルしかない岩が折り重なるようにせまい、一の沢に入って10分ほどのところで距離20メートル、かわの対岸の木の枝をおおきく揺さぶりながら、威嚇しています。
こちらの出方を伺っているようです。『サルのば~か。ウインを返せ~』『あっちに行け~!!』幼稚園の子供が、腹立ちまぎれに、けんかの相手に言葉を浴びせている様な、相手もとても、理解などできようはずもないのに、黙ってはおられぬ、何かに当り散らして、自分を落ち着かせようとしているかのような、、時間が20分も続いたでしょうか・・・
サルたちは、木の上で捕食した後、どこへともなく消えていきました。岩の上で腰に手を当てて、サルを睨んでいたつもりが、相手が居なくなって、なにやら、滑稽に思えて、大きくため息をついて歩き始めてすぐ、水辺の砂の上に、足跡を見つけギョ!!っとしました。くっきりと残された、それは、クマの足跡、それも、まだ形が鮮明に残る、つい今しがたつけられたかのようなくっきりとしたものでした。サルに気を取られて、ばかりではいけないのです。クマよけの鈴は持っておらず、水音に負けない程、大きな声でウインの名前を呼びながら、クマに遭遇しませんようにその場を立ち去りました。

こんなに大きな岩が、折り重なるところを、果たして犬が歩けるのだろうか・・・?いや、ここは歩けるはずがない!!
今はウインが落ちた沢の下まで進み、途中の木にひっかかっているかもしれない亡骸だけでも、連れてきてやらねば・・・
見つけたい気持ちと、可愛そうな姿で見つかってほしくない気持ちとゴチャゴチャになりながら、取水口の下側まで、たどり着き、午前中捜索した川の場所まで、たどり着きました。岩場が大きく滝のようになっているため、ここから上流に上ることはできません!!仕方なく、対岸(といっても、川幅は2メートル程しかないのですから、岩を一つ飛び越えれば、渡ったことになるのです・・・)の崖を、森林エリアに向けて登るしかないので、3人で岩場にへばりついていたとき・・・・わん旅・あずきパパが、『今、犬が鳴いた!!』轟々と響く水音しか、私達には聞こえなかったので、ついに、空耳まで聞こえるほどになっちゃって・・・・・それでも、呼んでみるか…『ウイ~ン』  ワンワンワン  ウインの声です。



次回につづく





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Posted by わん旅・スタッフ at 00:48│Comments(4)捜索記
この記事へのコメント
今年は本当に最後に来て良い年でした!で、終われてよかったです。
ウィンちゃんの捜索、本当にありがとうございました、それからご苦労様でした。
来年はこんな哀しい事が起きない年にしたいですね。

来年もあずきママさんご一家にとって良い年になりますように。
Posted by のあママ at 2011年12月31日 13:11
のあママさんへ

ホントにこれで、都市が越せます・・・
来年は、みんなが、笑える年に成りますように・・・・

我が家はもしかしたら、もう1匹家族が増えるかも・・・・一緒に朝霧に行くわよ~
Posted by わん旅・あずきママ at 2011年12月31日 19:40
あずきママさん、

ランキングすごいですよ! ヽ(^o^)丿

たくさんの人が今回のウインの奇跡の生還を見守り、読んで下さってます。

捜索の様子がどんなに大変だったか、文章と写真から読み取れ涙が止まらず、
毎回脇にティッシュの箱を置きながら読んでいます。

来年は穏やかな年になりますように、と祈らずにいられません。
Posted by ロミママロミママ at 2011年12月31日 21:35
ロミママさんへ

そうなんです!!ランキング跳ね上がっちゃって・・・わん旅が一番ビックリしてます。こんなにたくさんの人達に、見守られてるウインはほんとに幸せです。

今だから笑って話せるけど、捜索当時は、全員が悲壮な面持ちだったり、わざと元気に振舞ったり、いろいろありました・・・・これから、また、書きますね。

って、これがノンフィクションだから、凄いんですよ~

来年は元気なったウインちゃん家族に、安曇野の素晴らしさと、優しさを味わえるようなところに連れて行ってあげたいと思ってます。

ママさんはじめ、大勢のみなさん祈ってくださってありがとうございました。
Posted by わん旅・スタッフわん旅・スタッフ at 2011年12月31日 22:54
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